Round 4 《"パーク"・パークへ、ようこそ?(*1)》- Jamie Parke vs 中村 修平
by Tim Willoughby

Jamie Parkeはこの巨大なグランプリ・インディアナポリスに参加するのに中々幸運な人物だった。プレイヤーリストが張り出される数分前、彼まだ登録の順番待ちの列の中にいて、この大会のために用意されたトーナメント・パックが果たして参加者全員に行き渡るだけの十分な数があるのかが怪しかった。Adrian Sullivanは彼の友人達がトーナメントに参加できるように、少しでも多くの追加パックを用意するべくせっせと働いていた。

その甲斐あってか、丁度参加希望者全員分に等しいだけのパックを容易するに至り、Jamie Parkeはそんな幸運な参加者の一人だったんだ。Jamie Parkeはそこで幸運を使い果たしのかもしれない、というのも、彼の3bye明けこのトーナメント最初の対戦相手が、中村修平、強豪揃いの日本が誇る現時点でのプレイヤー・オブ・ジ・イヤーのトップランカーなのだ。

修平がダイスロールに勝ち、後攻を選択するが、ほんの少しの安定感の差が大きく勝負を左右するため、シールド戦では決して珍しいことではない。両プレイヤー共に1度のマリガンを経て、Jamieが平地から森、《他所のフラスコ/Elsewhere Flask》へとつなぐ。対する修平は緑単色の様相を見せ、2ターン目の《献身のドルイド/Devoted Druid》がファーストアクションとなる。中村は続くターンの手として《猪牙のしもべ/Boartusk Liege》が控えてはいたものの、Parkeが返しのターンにプレイした《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》によってライフアドバンテージに差をつけられてしまう。

Parkeのデッキは十分過ぎるほどのカラーバリエーションに富み、場には《平地/Plains》《森/Forest》《山/Mountain》に《他所のフラスコ/Elsewhere Flask》が並び、修平の《猪牙のしもべ/Boartusk Liege》には《引き霊気/AEthertow》という回答を用意していた。さらにそのお返しだと言わんばかりに《野リンゴの群勢/Crabapple Cohort》を送り出す。修平はと言えば、仕方なく、守勢に回るべく場を再構築する。《キスキンの盾挑み/Kithkin Shielddare》、《年老いた恐樹皮/Old Ghastbark》と守りのクリーチャー陣を場に送り出す。

双方のプレイヤーが少なくとも3色を使用していることを場の土地で示し、お互いに《他所のフラスコ/Elsewhere Flask》を場におき、ありとあらゆるコンバット・トリックが可能性として両者の脳裏をよぎる。今、コンバットステップが二人の場にとって果てしなく重要なものと感じられるだろう。

これが両者が序盤のうちに果敢に殴りあいを挑んだ理由であろう。両プレイヤー共にさらなるクリーチャーを場に送り出しては見るものの、なかなか攻勢に持っていくことは叶わない。このお互いに行き詰った状態から、先制を取ったのはJamieだった。中村のターン終了時に《魔法を回す者/Glamer Spinners》をプレイし、航空戦線を強化して攻める。さらに、修平のドローは既に枯れてしまったようで、彼はたった1枚の手札をテーブルの脇へやる。その間に《節くれの彫像/Gnarled Effigy》がJamieの計画を絶対的なものへと。

修平のライブラリートップから降りてきた《鎖の呪い/Curse of Chains》が《野リンゴの群勢/Crabapple Cohort》を戦線から追放してみせる。さらに中村の場には2枚の《樹液染みの森/Sapseep Forest》が出ており、《魔法を回す者/Glamer Spinners》の攻撃をほぼ無効化することが可能である。続くターンには3枚目(Foilのね)を場に追加してみせる。これで、修平が2枚以上の緑のパーマネントをコントロールしている限り、彼のライフゲインシステムは休むことなく機能し続ける。

修平は《年老いた恐樹皮/Old Ghastbark》で攻撃してみせるが、Jamieは《節くれの彫像/Gnarled Effigy》を起動してそのクリーチャーを縮める。Jamieは2点のダメージを受けて、ライフは20へ、結果先のターンで《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》与えた2点のライフをそぎ落とすのみにとどまった。

Parkeは返すターン、《年老いた恐樹皮/Old Ghastbark》へは《禁固刑/Prison Term》という回答を用意しており、さらに《バリーノックの群勢/Ballynock Cohort》追加して修平にさらなる回答を要求する。修平は特にアクションを起こさず、淡々と毎ターンライフを得るのみにとどまる。

Parkeは満を辞して《不気味な戯れ児/Grim Poppet》を場に送り出し、《バリーノックの群勢/Ballynock Cohort》《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》《魔法を回す者/Glamer Spinners》で攻撃を仕掛ける。これに対し修平は予想外の《羽毛覆い/Plumeveil》で答えるが、《戯れ児》を前にしては満足に働くこともできず、《戯れ児》の数個のカウンターと引き換えに《魔法を回す者/Glamer Spinners》の前に散ることとなった。

今度は修平の反撃だ、彼は《刈り取りの王/Reaper King》はプレイしてみせる。しかしこれは《年老いた恐樹皮/Old Ghastbark》からの《禁固刑/Prison Term》がすぐさまキャッチ、だが場には《名誉回復/Vindicate》が残ることになり、中村は更なるカカシを引いてこなければならない。

Parkeは《節くれの彫像/Gnarled Effigy》によって小さくなった《猪牙のしもべ/Boartusk Liege》を《今わの際/Last Breath》討ち取ってみせ、修平のライフは19へと、しかし彼の場をそれほど脅威ではないものとすることに成功した。Jamieはさらに《白粘土の教団/Order of Whiteclay》を追加する。このレアはJamieに選べる対象がいない今はそれほど脅威ではないもの、テーブルがスカスカの中村の場に比べて、多くのカードで溢れるアメリカ人の場に加えられのだ。

修平はカードを引くと、丹念に場を見回す。すると彼はすでにこのゲームに勝機は無いと知ったのか、時間の無駄だと言わんばかりにカードを片付けた。

Jamie Parke 1 - 0 中村 修平

両プレイヤー共、入念にサイドボードをチェックして、数枚のカードを第2ゲームに向けて入れ替えた。二人とも、3つの不戦勝を消化する間に、各自のデッキを分析・テストする時間があったわけなのだが、このサイドボーディングは、ただカードプール自身と経験で”正しい構築”を導くことが出来るようなセットとは違い、特定のマッチごとに決まった形があるわけではなく、無限の可能性があるのだ。

修平が第2ゲームも再び後攻を選び、Parkeが手札を見て沈思する姿を、ただ落ち着き払った様子で見つめる。両プレイヤーがキープを宣言し、真剣勝負が始まる。

修平は2ターン目に早々と《未熟な鬱後家蜘蛛/Juvenile Gloomwidow》を送り出し、Parkeの《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》に対して非常な有効なカードと言えるだろう。彼は自身の《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》をプレイするがParkeの回答は《節くれの彫像/Gnarled Effigy》。どうやら頑強生物にとって決しておいしい取り引きは行えそうにない。

修平は《禁固刑/Prison Term》をParkeの《嫌がらせ屋》につけて、攻めるための道をこじ開け、突撃する。Parkeはただ、ドローして土地を置き、ターンを返すのみ。

続く修平のターン、彼のアタックに対応して《魔法を回す者/Glamer Spinners》を登場させ、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》を討ち取る(-1/-1カウンターはない)。修平は《節くれの彫像/Gnarled Effigy》を、取り返しが付かなくなる前に止めるべく《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》でこれを止めるのだが、空を舞う2/4生物の前に手をこまねいている。それでも、修平はライフアドバーンテージを獲得することにすでに成功している。《嫌がらせ屋》の能力に加えて、《樹液染みの森/Sapseep Forest》を場に用意し、再びライフレースでの有利を確立する用意をする。

だがParkeはさらに大きなアクションを用意していた。《炎渦竜巻/Firespout》をプレイし、修平の場を焼き払い、Parkeの場には《禁固刑/Prison Term》の解けた《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》が場に残る。Parkeはさらに修平が場に追加した《野生薙ぎのエルフ/Wildslayer Elves》には自身の《禁固刑/Prison Term》課し、可能な限りの攻撃を行う。《禁固刑/Prison Term》は修平が送り出した《非道な導師/Roughshod Mentor》へと移動する。修平は、総ライフこそ上回っているものの、場の脅威の差を恨めしそうに見つめる。続いて《安寧砦の精鋭/Safehold Elite》と《鬱後家蜘蛛/Gloomwidow》がParkeの場に追加され、今やビートダウンを始めんと努める。

このプランに対する修平の回答は《羽毛覆い/Plumeveil》であり、少しでも得を出来るようなブロックをしてみるものの、Parkeの手札から《樹皮殻の祝福/Barkshell Blessing》を消費させるにとどまる。続いては《不気味な戯れ児/Grim Poppet》が現れて修平サイドの新たな犠牲者を《野生薙ぎのエルフ/Wildslayer Elves》。修平は《鎖の呪い/Curse of Chains》で《不気味な戯れ児/Grim Poppet》を捕らえ、《小走り犬/Scuttlemutt》をブロッカーとして用意してみるものの、まだまだ彼の向かいの場には対処しなければならない脅威が山積みである。この時点で修平のライフは10まで落ち込んでいた。Parkeの《上機嫌の破壊/Gleeful Sabotage》が《犬》を葬ると、Parkeの軍が修平に襲い掛かりライフ2まで落とす。中村はカードを引くと、手を差し出した。Jamieはしっかりと握手を交わし、パンッ、と拳を手のひらに打ち付けた。一日の最初のゲームで勝利するというのはいつでも良いものだが、その相手が、中村ほども実力のあるプロプレイヤーならば、また格別なことだろう。

Jamie Parke 2 - 0 中村 修平





(*) -訳注

1, カバレッジのタイトル、間違いなく公園(Park)とJamieの苗字、"Parke"をかけているんでしょうが、ただ彼の名前として訳すのも、『公園』と訳すのも面白くないのでこんな感じになりました。

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