《ドラフト・レポート - 斉藤友晴の場合》
by Tim Willoughby

僕は今朝初めに、斉藤さんにシャドウムーアドラフトについての雑感を聞いてみた。すると驚くことに、構築戦のイベントラッシュであることもあって、彼はまだこの環境のドラフトをあまりしてないと言う。彼は始め、このフォーマットでビックリするほど前のめりなデッキが組めればいいなぁ、と語ってくれたが、赤いカードはみんなの大人気だ。

彼は最後に、このセットで最弱の色とされる、黒がやれればいい、とも語ってくれた。それは丁度、ジュネーヴでのMike Hronのように、敢えて環境の不人気色を選ぶことで、その色のパワーカードと独り占めしてやろう、という算段だ。

と、いうことで、斉藤はドラフト・カバレッジで追うのにふさわしい人物だろう(プレイヤー・オブ・ジ・イヤーってだけじゃ不十分ってことじゃないよ!)。
斉藤の作戦は、第1パックで早くも日の目を見ることになる。彼が開けたパックからは、《猪牙のしもべ/Boartusk Liege》と《憂鬱の槍/Gloomlance》が。《槍》はこのセットの中でも屈指の単体除去で、巨大ファッティを葬りながら、必要以上のアドバンテージを稼ぐことを可能にする。

斉藤は《しもべ》に手を伸ばした、序盤は純粋なカードパワーを追う、ということだろうか。2手目に《バリーノックの群勢/Ballynock Cohort》をピックし、《樹皮殻の祝福/Barkshell Blessing》が更に後に続く。この時点で明らかに斉藤は手を広げ、巧みに自分の居場所を確保する。4手目に《痕跡焼き/Burn Trail》を見つけると、続いて"赤単アグロ"の看板少年である《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate》を手に入れる。数体の《信徒》がいれば、彼の攻撃は面白いように通り、とどめの《痕跡焼き/Burn Trail》の共謀も容易となる。

一旦作戦の流れを掴みかけた彼は、それを離しはしない。そして、パック自身がそれを促しているというのは、決して間違いではないだろう。友晴は《錆び剃刀の解体者/Rustrazor Butcher》、《煤の焚きつけ屋/Sootstoke Kindler》、そして14手目にして《火の突撃者/Pyre Charger》を手に入れるに至って、彼の戦略は完全に固まり、おのずと残りのドラフトピックの方向性も定まったといえる。

第2パックも滑り出しは順調だ。斉藤のパックには《炎の投げ槍/Flame Javelin》(もちろんこれが斉藤のピック)が、となりには《見下し/Tower Above》と更なる《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate》、そのほかに誰もが欲しがるような良質カード(《技鋸の徒党/Knacksaw Clique》・《鎖の呪い/Curse of Chains》)が並んでいた。2手目で2枚目の《痕跡焼き/Burn Trail》を。《裏切り者の咆哮/Traitor’s Roar》が彼のバーンプランの幅を広げ、ドラフトが進むにつれて彼が開けたパックにいた《威嚇者の信徒/Intimidator Initiate》が手元に戻ってくる。

3パック目において、斉藤のデッキは"いいデッキ"から"とんでもないデッキ"となる。ファーストピックは、パックで唯一の赤いカードであった《泥騒ぎの略奪者/Mudbrawler Raiders》で少しばかり良い展開。4手目には3枚目の《痕跡焼き/Burn Trail》を取り、ほどなくして、2枚の《泥騒ぎの群勢/Mudbrawler Cohort》を手に入れる。斉藤はその3枚目の《痕跡焼き/Burn Trail》を取るに当たって《山背骨のドラゴン/Knollspine Dragon》を流さなければならなかったが、もちろん何も気に病むことではない。

僕が斉藤に最終的なデッキの感想を聞いたところ、本当に嬉しそうだった。日本語的に言えば、彼は"おかしいデッキ"だと表現して見せ、実に低いマナカーブと単色ということもあって、マナやら何やらの心配をしなくてもよいことも非常に嬉しい点だ。

そんな斉藤のバーンプランを、みんなまだ知る由もない・・・

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索