Feature Match Round 3 ―
Anthony Ferraro vs. Brian Kibler & David Colby vs. Jeff Cunningham

by Rich Hagon


今をときめくプロプレイヤーたちが3バイを消化してゆく間に、マジックの歴史書に輝かしい名を残す数名のビッグネームたちがすでに熱い戦いを繰り広げている。
その2名とは、時を遡ること1997年のグランプリ・トロントの王者Brian Kibler、そしてカナダ人のJeff Cunningham、2002年フィラデルフィアでの勝者だ。
Kiblerは同じアメリカ人のAnthony Ferraroとの初戦において、彼の猛攻の後にわずか3ターンで敗北してしまった。《ぼろ布食いの偏執狂/Tattermunge Maniac》、2体目の《偏執狂》と《モグの狂信者/Mogg Fanatic》、《ボガートの突撃隊/Boggart Ram-Gang》・・・その間2枚の《原霧の境界石/Fieldmist Borderpost》を見せることしかなかったKiblerは早々に事切れてしまった。
一方のCunninghamも、彼の駆るスワン・アサルトデッキがDavid Colbyの設置した―間違いなくこの週末、ありとあらゆる場所で見られるであろうカード―《真髄の針/Pithing Needle》(《突撃の地鳴り/Seismic Assault》指定)に対する回答を見つけられないまま1ゲーム目を落としていた。

とはいえ流石はビッグネームの両名、すぐさまに勝ち星を取り戻す。
Kiblerは《風生まれの詩神/Windborn Muse》を従えて―いいよ、思う存分確認しなよ。―さらに完璧なタイミングの《神の怒り/Wrath of God》によってゲームの主導権を握りながら、満を持して《目覚ましヒバリ/Reveillark》を想起。勝利をもたらすこととなる《熟考漂い/Mulldrifter》を場に送り出すのだった。
Cunninghamもまた、アラーラ再誕のスターカードの1枚である《大渦の脈動/Maelstrom Pulse》を駆使して、注意深く《真髄の針/Pithing Needle》と《ルーンの光輪/Runed Halo》がはびこる地雷原を潜り抜け、場を均衡させようと現れた《求道者テゼレット/Tezzeret the Seeker》をも打ち落としながら勝利を掴むこととなる。

だが運命は時に残酷である。(※1)

両古豪(Kiblerは僕の記憶が正しければ28才になるから文句言ってくるかもしれないけどね!)は初戦を勝利で飾ることには相成らなかった。
Junkhackblade.deckにはこれっぽちの情けのかけらすらなく、名前に恥じぬカードパワーを持つ《途方もない力/Colossal Might》がFerraroに勝利をもたらし、その間にColbyは今一度、Cunninghamのデッキが与えるダメージ―すなわち、わずかのスペルのために犠牲にした数字、平均60点だ(※2)―の射程外まで自らのライフを持っていくことに成功していた。

彼らの対戦の後に、何故更なる勝負のために、何度もこの場に戻ってくるのかを聞いてみた。
Kiblerはこう言う―『マジックってのは、知力に対する挑戦だけじゃなくて、創造力に対する挑戦でもあると思ってるんだ、っていうのも、1つのフォーマットに対して革新的な視点から取り組むこと出来たとき、そこには確実に相応の評価と報酬が待ってるからね。マジックオンラインにおける膨大なまでの情報量はほんとに贅沢さ、90年代後半からは考えられない。君自身がプレイテストをしていなかったり、特定のプロプレイヤー・チームに繋がりがなけりゃ大抵環境は未開のままだった。今、鍵になっているのはその情報を使ってフォーマットの"隙間"を見つけること。でもその隙間ってのは、"すでに出た結果"ではなくて"この先これから出ると予想される結果"でなくてはいけないんだよ。』

バルセロナでのかすれたペンのインクのような思わしくない結果から、Cunninghamはテストプレイを続けた。
『僕はこのイベントのためにたくさんのテストプレイをした。そこから感じたのは、ほとんどのデッキが5色コントロールに対して問題を抱えてるってことだ。』
両プレイヤーは共にメタゲームが毎週変わっていっていることに納得していた。国別選手権予選においては白黒トークンが環境を支配し、ターボフォグやスワンアサルトといったデッキ達にチャンスが巡ってきた。Cunninghamは、この結果を受けたスワンメタの嵐が心配ではなかったのだろうか?
『特に心配はしなかったよ。このデッキはありとあらゆる角度から対戦相手を脅かす、それにカードを探すことがそのまま勝ちに直結している、勝利のために相手を遅らせたりそのための準備を整えるよりも単純で強力だし、それらは大概すごく難しい。それにこのデッキは、プレイイングを見ても、果たして何をやろうとしているのかってのが見えにくいのも利点なんだ。だから、たとえ君の対戦相手が正しい対策カードを正しいタイミングで使えたとしても、君にはまだ十分勝つチャンスがある。』

Kiblerについて、彼のデッキは彼がデッキにつけた名前"Pikulark"が示すように、多くのスターカードが盛り込まれている。Chris Pikulaはオリジナルバージョンであるプレーンシフトの《翻弄する魔道士/Meddling Mage》にフィーチャーされ、今回アラーラの再誕において採録された。そして彼はこの青白2マナのクリーチャーが《神の怒り/Wrath of God》や《熟考漂い/Mulldrifter》、そして強力な《目覚ましヒバリ/Reveillark》を擁するこのデッキに合うと考えた。そしてさらにKiblerはこう付け足した、『それから偶然の巡り会わせか、《風生まれの詩神/Windborn Muse》もパワーが2だったのさ!』

Cunninghamは彼の"The Magic Academy"―ここ、magicthegathering.comにおいて連載され、新規プレイヤー達に今までにほぼ例を見ないやり方でこのゲームの基礎を伝授している。―における象徴的な活動で広くその名を知られている。さて、一体何が彼を、この最高峰のマジックプレイヤーが集う場へと引き戻し続けるのだろうか?
『熱を上げてるんだよ』 と、彼は認めた。

では、Kiblerは?何がKiblerを"まだ足りない"と、この場に引き戻し続けるのだろうか?
『僕はBen Rubinと一緒にプロツアー・ホノルルのために調整してたんだよ・・・あれは確か2001年だかその辺だったかな?彼はある1ゲームの途中で手を止めて僕にこう言ったんだ。"・・・なぁ、お前さ、同じマジックのフォーマットを丸1年練習できたのに、何一つ答えが見つかってないよな"・・・これが、僕の質問に対する答えさ。』








(1)―Unfortunatelyを完全意訳。カバレッジ部分がおまけみたいになってるんでちょっとでもドラマチックにしようかと思いまして(笑)

(2)―要するに、デッキ内に土地と《突撃の地鳴り/Seismic Assault》しかなければ60点は容易に叩きだせるのに、コンボを安定させる続唱スペルを入れるために土地を削ったことで(当然入れるべきだけど)、その60点に届きにくくなってしまっており、対戦相手のライフがそこまで達してしまって勝てなかった、ということですね。ちょっとした皮肉。



っていうか、Brian Kiblerカッコ良すぎる。

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